
中山道の空き家でオリジナル折り紙ショップを運営 「ののすておりがみ屋」のご紹介
公開日:2024/08/19 06:19
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2025/02/04「興味ある」が押されました!
2024/11/26旧中山道から、近江鉄道線路側に一本入った場所にあるオリジナル折り紙ショップ「ののすておりがみ屋」。 お店は今年で移住して10年になる、元地域おこし協力隊員の関 りんさんが営んでいます。
「ののすておりがみ屋」の折り紙はモノクロデザイン。国の伝統工芸品である近江上布の染め技法のひとつ、「型紙捺染」に使われていた型紙の模様が使用されています。愛荘町の伝統や歴史を伝える型紙に、気軽に触れられるようにとリデザインされたアイテムは、ぱっと目を惹くおしゃれさがあります。
今回は「ののすておりがみ屋」の背景や、近江上布の型紙×ヨシ紙で作るオリジナル折り紙について紹介します。同じく関さんが営むミシン刺繍の「刺繍屋ポイトコセ」も取り上げているので、ぜひ最後までご覧ください!
近江上布の糸染め型紙を活用した折り紙、発案からこれまでの10年
2014年に京都から移住し、愛荘町で初代の地域おこし協力隊員に着任した関 りんさん。当時より地域の活性に向けて取り組みを行ってきた彼女は、近江上布の製造をされていた野々捨商店(1884年ー2002年)にて使用されていた型紙が、地域資源として数多く残っていることに着目しました。着物を身にまとう文化が変わりつつある中で、何か新しい形で伝統に触れることができないかと考え、型紙の模様をプリントした折り紙「ののすておりがみ」が生まれ、いまの「ののすておりがみ屋」に辿り着いたのだそう。 伝統を活かした「ののすておりがみ」とはどのようなものなのか、また10年続けてこられた秘訣とは何かを関さんに伺いました。
▼伝統文化や琵琶湖の水質に配慮した折り紙の考案 愛荘町には室町時代より続く上質な麻織物の伝統工芸品・近江上布があります。上布とは「上質な麻織物」のことで、彦根藩の献上品としても用いられた高級品です。 近江上布の特徴である絣模様は、先に染めた糸を、柄を合わせながら織り上げることで生まれます。糸を染める道具には、櫛(櫛押捺染)と型紙(型紙捺染)があり、私はこの渋紙に絵柄が彫られた染型紙を活かして折り紙を作りたいと思いました。その頃ちょうど、近所に住む折り紙に詳しい方と知り会うことができたんです。折り紙は、協力隊活動の中でいろいろな世代の方とコミュニケーションをとるため、とても良いきっかけになりました。
実際に野々捨商店さんで使われていた型紙をデータにし、折り紙の柄として町内にあるコクヨ工業滋賀さんでプリントを行ってもらっています。コクヨ工業滋賀さんでは、琵琶湖に生息する植物のヨシを含むヨシ紙の文具を作っておられます。「ののすておりがみ」もヨシ紙を使用することで、柔らかな色味としっかりとした質感の折り紙に仕上がりました。琵琶湖のヨシを活用することで水質改善にも繋がるので、琵琶湖の環境に優しいところも「ののすておりがみ」の魅力です。
▼人と人が繋がってきた「ののすておりがみ屋」 店舗を構える前は、様々な場所で「ののすておりがみ」を使ったワークショップや展示を行っていました。そのなかで、野々捨商店さんの奥さまが参加してくださったこともありました。奥さまは、折り紙になった柄の中から思い出深いエピソードや、当時の商店の様子などを話してくださいました。商品化に際しては、コクヨ工業滋賀さんにもアドバイスをいただきましたし、「ののすておりがみ」を使ったアイテムの考案・制作には、近所に住む折り紙名人の方に手伝ってもらいました。また、権利関係の調整を一緒にしていただいた役場の方にもお世話になりました。 店舗にしている古民家は、大家さんが改修したり自分たちで手を入れたりして整えたものです。今も様々な場面で人に支えられていると実感する日々を送っています。


古民家の雰囲気を活かした店舗 「ののすておりがみ屋」&「刺繍屋ポイトコセ」
店舗には「ののすておりがみ」をはじめ、ミシン刺繍の「刺繍屋ポイトコセ」の商品など、さまざまなアイテムが並んでいます。以下では、それぞれの商品の魅力を伺いました。
▼「ののすておりがみ屋」 惜しくも廃業された野々捨商店さんでは、美しい多色柄の上布が評判だったそうで、色の分だけ型紙の枚数も多く、その数は約6,000枚に上りました。その中から「ののすておりがみ」に使用する際には現代でも新鮮に感じる38柄を選び、折り紙のサイズ展開も行いました。店頭販売限定の柄もあります。また、「ののすておりがみ」を使ったアイテムは、紙の質感を大切にするためにレジンではなくこんにゃく糊で加工したアクセサリー、高島扇骨とコラボしたオリジナル扇子など、多岐に渡ります。
▼刺繍屋ポイトコセ 「ののすておりがみ」の他にもオリジナルアイテムを何か一緒に販売できないかと考え、生まれた「刺繍屋ポイトコセ」。「ポイトコセ」とは「ピョンと跳び越えろ」を意味する言葉で、愛知川に伝わる民話から名付けました。モノクロの折り紙とは対照的に、カラフルなオリジナルデザインのミシン刺繍アイテムを販売しています。店頭では主にバッグ、ポーチ、ワッペン、キーホルダーなどを取り揃えています。2023年からは、インド綿を使った商品展開に力を入れていますが、これも愛荘町内で知り合ったインド出身の方が、お店とインドの会社を繋いでくださったことがきっかけです。 今後も「ののすておりがみ屋」を含め、さまざまな人と一緒に、ユニークな商品展開を行っていきたいです。
今回は関 りんさんに「ののすておりがみ屋」の背景や近江上布の型紙×ヨシ紙で作るオリジナル折り紙についてお話を伺いました。
「ののすておりがみ屋」に行ってみたい、愛荘町の伝統や歴史についてもっと知りたいと思った方は、ぜひ「興味ある」ボタンを押してくださいね。質問も受け付けています!
最後までご覧いただきありがとうございました。次回の投稿までは、これまでに紹介した愛荘町の他の記事をご覧になってお待ちください!


「ののすておりがみ屋&刺繍屋ポイトコセ」
場所:〒529-1331 滋賀県愛知郡愛荘町愛知川1764-1 OPEN:金・土・日・月 11:00~18:00 イベント出店などで、実店舗のオープン日が変わります。 事前に営業カレンダーをご確認ください。
◇HP:https://nonosute-origami.tumblr.com/ ◇Instagram:https://www.instagram.com/nonosuteorigamiya


愛荘町役場みらい創生課
このプロジェクトの地域

愛荘町
人口 2.14万人

愛荘町役場が紹介する愛荘町ってこんなところ!
平成18年に2つの町が合併してできた現在の愛荘町は、今年で19年目を迎えます。琵琶湖に流れる川の上流・湖東地域に位置しており、鈴鹿山系からの豊かな清水と自然に恵まれ、古くから水との関わりが深いまちとして知られてきました。
町の東側には、聖武天皇の勅願で行基が開山した湖東三山の一つである金剛輪寺があります。昔から四季折々の雰囲気を楽しめるスポットとして地元の方々をはじめ多くの人に愛され続けている場所です。また、近世には中山道65番目の宿場として愛知川宿が栄え、後の明治には郡役所や警察などの官公署が置かれ、近江鉄道が開通するなど、古くから地方の中心としても発展してきました。
国の伝統的工芸品に指定されている「近江上布」を中心とした麻織物や、瓶のなかにてまりが入った不思議で美しい滋賀県の伝統的工芸品「愛知川びん細工手まり」など、愛荘町でしか見られない手仕事ならではの「ワザ」が光る工芸品を見られるのも特徴です。
【アクセス】 ・高速道路を利用すれば、京都まで1時間、名古屋まで2時間弱。 ・近江鉄道を利用すれば、彦根や八日市には約15分。 ・琵琶湖までは車で約25分!
【愛荘町移住・定住ポータルサイト】 https://www.town.aisho.shiga.jp/iju/index.html