石垣島の循環型6次化産業の可能性を語ろう「畜産編」

◆◆◆チャレンジ石垣島の継続的な6次化への取り組み◆◆◆ チャレンジ石垣島では、昨年「島の農業の新たな可能性」6次産業化へのチャレンジというイベントで、第一社であり数多くのケースに関わってこられた中村正明氏をお招きして、一緒に学べるイベントを行いました。

今回は、八重山ファーム【農業編】に続いて、【畜産編】のイベントを開催します。 土地づくりから製品加工、流通・販売までを一貫して行うことで各工程のロスをなくし、廃棄物を極限まで減らすことを目指している八重山ファーム。 なかでも、畜産で発生する糞尿を発酵させて農場の堆肥に使い、パイナップルを加工する際に廃棄される絞りかすを豚の飼料として利用するなど、畜産と農業をリンクさせた循環型農業を展開していることが最大の特長です。

◆◆◆牛豚の健康も、環境の健康も目指す◆◆◆ 「農業・畜産業から生まれる『食』を通して人の心身を健康にしたい。 そして地域社会や地球環境も良くしていきたい。 そんな『良くする』輪を広げていきたいんです」。 やえやまファームの理念について語る宮崎さん 今回の登壇者です！

■■廃棄物を再利用することで牛豚の健康も、環境の健康もめざす■■ 牛はもちろん、人や環境にも健康をもたらす畜産を目指し、様々な工夫を行われています。 そのひとつが独自の飼料。通常であれば濃厚飼料（穀物が主体の飼料）と牧草を別々に与えることが多いのですが、二つを混ぜた飼料を使っています。

こうすることで牛の好き嫌いによって偏って摂取されることを防ぎ、どの牛も健康的に育ち、安心・安全な牛肉を提供できるからです。また、肥育牛（食肉用に育てられる乳牛の雄牛）には泡盛かすに糖蜜を混ぜ発酵させた飼料を与えています。

「これを与えると、牛のげっぷに含まれるメタンガスが減る効果があることがわかったんです」。

石垣島では産業廃棄物の処分が禁止されているため、泡盛メーカーは泡盛かすを沖縄本島へ輸送し廃棄しなければならない。やえやまファームでは輸送時のCO2排出削減を目的に泡盛かすをメーカーから引き取り、飼料として再利用しています。

そんな飼料にメタンガス削減という思わぬ効果があることがわかり、『良くする』が広がる循環型農業の力が芽吹き始めています。

また、牛舎を一歩出ると、広大な牧草地が一面に広がっています。 飼料となる牧草はここから採取されるため、飼料調達に関わる無駄なコストやエネルギーがかからないようになっています。

一方、別の作業小屋では、パイナップルの絞りかすからつくる発酵飼料の仕込みが行われていた。 農産部で育てられたパイナップルはジュースに加工される。 その時の絞りかすを廃棄せず、豚の飼料として活用しているのです。 養豚担当は「発酵には１年かかります。こうした餌を使っているところは見ない」と話してくれます。 発酵飼料を与えることで腸内環境が整い、栄養の摂取が進み、肉のうま味を深めていく。

別の視点では最近の研究で、泡盛の蒸留粕を配合した発酵飼料を与えた牛と通常飼料を与えた牛では、泡盛の蒸留粕を与えた牛のメタンガス発生量はおよそ47％減少するということが分かりました。

メタンガスというのは地球温暖化の原因のひとつとも言われていて、牛などの呼気から発生する量は、国内全体の発生量の約４分の１を占めています。

本来なら廃棄となるはずの泡盛のかすを、地球温暖化対策として活かすことができるのではないかという発見は、循環型農業を行っている中でのとても嬉しい成果でした。

あなたが今取り組んでいる農業や畜産の活動、あるいは将来「こんな牧場で、こんなことをしてみたい！」という熱い思いをぜひ聞かせてください。 参加者の皆さんの疑問や夢を直接ゲストにぶつける質疑応答の時間を多く持つ予定です。希望者には、個別に「私の畜産・農業」をお話しする時間も設ける予定です。

同じ志を持つ仲間との出会いが、あなたの次のキャリアを大きく広げるきっかけになるでしょう。

このオンラインイベントは、単なる知識を得る場ではなく、あなたの「未来の生き方」をデザインするための場です。特に、以下のような課題意識や情熱を持っている皆さんに、ぜひご参加いただきたいと考えています。

1. 地域の課題解決と環境保護に、仕事を通じて貢献したい方 「自分の仕事が、社会や環境にとって本当に良い影響を与えているのだろうか？」と自問したことがある方。

廃棄物削減や地球温暖化対策といった大きなテーマに、具体的なビジネスとして関わりたい方。

八重山ファームが取り組むのは、まさしくその最前線です。通常なら産業廃棄物として島外輸送される泡盛の蒸留粕を飼料として再利用するアイデアは、CO2排出の削減に貢献するだけでなく、さらに牛のメタンガス発生量をおよそ47％も減少させるという驚くべき成果を生んでいます。

1. 畜産・農業の「未来」に強い関心を持つ、探求心旺盛なチャレンジャー 「従来の畜産・農業の枠を超えた、新しい技術やアイデアを探している」という専門的な関心を持つ方。

腸内環境の改善、肉質の向上、動物福祉といったテーマに、深くコミットしたいと考えている方。

八重山ファームの取り組みは、その高い専門性と独創性から、全国的にもユニークです。パイナップルの絞りかすを発酵に1年かけて豚の飼料とするこだわりは、単なるリサイクルではなく、肉の旨味を深めるという品質向上に直結しています。また、濃厚飼料と牧草を混ぜて与えることで、牛の偏食を防ぎ、健康的な成長を促すという、地道で科学的な工夫も光ります。

1. 「南の島で、心身ともに健康的な暮らし」を本気で実現したい方 「都会の喧騒を離れ、自然に囲まれた場所で、心豊かな暮らしがしたい」と強く願っている方。

仕事のやりがいとオフの充実を両立させたいと考えている方。

八重山ファームの広大な牧草地で飼料を賄い、地産地消の循環を確立するスタイルは、石垣島という場所ならではのサステナブルな生き方を象徴しています。農業編で奥村さんが語ったように、島の厳しい自然の中で働く厳しさもありますが、それを上回る島暮らしの魅力や、仕事後の格別の解放感が待っています。

1. 自分の夢やキャリアプランを、具体的なアドバイスにつなげたい方 「畜産や農業でのキャリアプランについて、プロの意見を聞きたい」という方。

同じ志を持つ移住希望者や地域の人々と繋がり、コミュニティを見つけたい方。

チャレンジ石垣島は、皆さんの「やってみたいこと」や「農場で目指したいこと」を非常に大切にしています。イベント当日は、皆さんの疑問やキャリアの悩みに対し、ゲストから具体的なアドバイスを引き出す質疑応答の時間を確保します。さらに、ご希望の方には「私の目指す畜産」を語っていただく場を設け、参加者同士の新たな出会いや協働の可能性を育みます。

このイベントが、あなたの夢を現実の計画に変えるための、力強いステップとなることを願っています。熱意ある皆さんのご参加を心よりお待ちしております。