意欲は人生のバロメーター〜移住者の挑戦心がもたらす移住地の変化〜 滋賀大学生の移住者レポート(2)
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「意欲は自分の生きているバロメーターだから、常に挑戦する気持ちが大切。」こう語るのは、14の自治会からなる田根地区に暮らす牧さんです。パートナーの神田さんと共に、2019年1月から、移住生活を継続しています。2人は1974年に東京でデザイン系の会社を設立。小さい頃、南アフリカに住んでいた神田さんは、アパルトヘイト下の人種差別を経験。その後も海外で過ごされていたそうです。牧さんは大手商社に勤めていた過去を持ち、生まれも育ちも江戸っ子。活力と優しさに溢れる女性です。
「私は親の面倒を見ないといけなかったし、(介護のために)マンションに住んでいました。その15年間を取り戻す気持ちで、介護が終わった時、移住したいと思った。」と牧さん。2人が移住を決めたのは、15年間に及ぶ両親の介護を終えてからでした。移住を決めてからは、東京に近い場所を色々見て回ったそうです。
神田さんのお兄さんの「一度田根を見てみないか?」という一言で、2人は田根への移住を候補に入れます。神田さんのお兄さんは、米国の大学教員として毎年、田根地区でワークショップをしていた。兄に移住の心算を伝えると、田根を勧められたそうです。
「ちょうど紅葉の綺麗な秋に行き、景色の良さに感動した。仕事の関係で日本各地を回ったが、田根が良いと思った。最近聞く「憧れの移住生活」ではなく、何も無いところがこの地域の魅力。」と神田さん。長閑な田園風景、心地の良い風と静かな空間が2人を惹きつけたのだろう。

自分の軸を持つこと

「今この本を読もうと思っているんだけど、アイディアが大切。「モノ」ではなくて「コト」。昔から私たちは「コト」で勝負をしていた。抜きん出る為には、これだと思う「コト」を持つこと。あとは人間味、心がないとダメ。これが差になる。」と一冊の本を紹介する牧さん。
「自己啓発の前に、自己意識。ブレない自分と時間管理が、ビジネスや成長には必要。リーダーになるには、孤独かもしれないけどそれが成長。」
インタビューの中、2人は私たちに対して対等な立場で、活力溢れる姿勢で接してくれました。牧さんの言う「挑戦」とは、人生における一時的な出来事ではなく、生き方そのものだろう。文字通り「常に挑戦する」気持ちが大切である。
常に挑戦する気持ちは、2人の移住後の出来事からも窺える。神田さんは、移住一年目から町の役員になられました。「役員になったのは、当時集落で、木造の蔵を壊して鉄骨にする案が有力だったからだ。景観を壊さないため、それを止めるために役員になった。」自然豊かな田園風景や木造の家々の広がる街並みの中に鉄骨の蔵では風情がない。色合いや、自然と材質の調和が崩れてしまう。「鉄は錆びる。木は直せる。」と神田さん。
しかし、地域の人々にも思いがあります。「年配の人たちは、未来に迷惑をかけたくないと言う思いで、鉄骨にすることを主張していた。鉄にすれば長い間残すことができ、修理などの負担をかけなくてすむから、残るものにしたいと思っていた。」なぜ木造として残すべきなのかをはっきり伝えることで、次第に賛成意見が増えていったそうです。
一方、2人が住む町の集会では、いつも女性が隅に固まり、男性が机の前に座っていたそうです。牧さんはその情景に違和感を感じながらも、おくびにも出さず平然と机の前に座り、集会でも自分の思ったことを素直に伝えていた。そんな姿勢が、他の女性たちにも伝播し、次第に隅にいた女性たちも机の前に座るようになりました。更に、自分の意見を伝えるようになった女性が増えたそうです。牧さんの意図的行動によって、集落内の女性の振る舞い方に変化が起きました。
1人の行動は場所を問わず、集団の特徴を大きく変化させる。「意欲は人々に伝播するのではないか。」と考えさせられる出来事でした。

取材風景

取材風景

「移住」の捉え方

「移住の前後で予測できなかったことや、移住後不便だったことはありますか?」という質問に対して、牧さんは「どこへ行っても何も怖いことはない。最初はちょっと警戒するけど。なんせ強気に生きてますから。何が良いことで何が不自由なことか、ちょっと計算したら分かっちゃうじゃん。」と答えた。
”移住”は人生の大きな決断だと、2人に出会うまでは思っていました。しかし、2人にとって”移住”に関する悩みや不安は、「予測のできる仕方のないもの」であり、「挑戦」として、寧ろポジティブに捉えられています。
恐らく2人にとっての移住とは、場所に縛られず、その時点での最善の場所を探して生活する、遊牧民的な生き方です。現代では、場所に縛られない働き方を遊牧民になぞらえて「ノマドワーカー」と呼びますが、まさしく、2人は人生自体を”ノマド”として捉えているのではないでしょうか。
次お会いした時は、「常に挑戦する」2人の生き方の源泉を探りたい。

滋賀大学経済学部森ゼミナール 中村亮太 協力:滋賀県長浜市
プロジェクトの経過レポート
2023/01/31

続編公開しました!

大好評の滋賀大生による移住者インタビュー。
牧さん、神田さんへのインタビューの続編を公開したので、是非ご覧ください!
https://smout.jp/plans/10576

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いざない湖北  茂森 貴洋
長浜市移住定住促進協議会
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