「第二の人生の充実のさせ方」 ~「社会貢献」と「好きなこと」から考える~ 滋賀大学生の移住者レポート(10)
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公開日:2023/03/07
終了日:2023/06/07

「第二の人生の充実のさせ方」 ~「社会貢献」と「好きなこと」から考える~ 滋賀大学生の移住者レポート(10)

 余呉湖の美しさをご存じだろうか。この魅力に取り憑かれた移住者がいると聞いて、我々は余呉を訪れた。余呉駅から徒歩5分ほどで、山々に囲まれた静かな湖が見えてくる。その畔の小高い集落の中にある一軒家、眺望の素晴らしいバルコニーから、小谷健二(こたに・けんじ)さん(67)が手を振って迎えてくれた。
 小谷さんは大阪市で生まれ、転勤族であった父親に連れ添って各地を転々とした。高校卒業後は広島の大学へ進学し、当時の水畜産学部で草地学を学ぶも、就職後はその専門性とはあまり直結しない仕事をしていたという。西宮本社、東京、豊橋を中心に転勤を繰り返し、退職して名古屋に戻った。そして、退職の5年ほど前から考えていた移住を実行に移し、今年10月に完成したばかりの、余呉湖が見渡せる家に移住してきた。
 都会で生まれ育ち、大企業に就職して家族にも恵まれ、定年まで勤め上げた小谷さん。そんな小谷さんがなぜ、退職後の移住を決めたのか、そのライフストーリーから読み解いていきたい。

―移住に至るストーリー

 前述の通り、小谷さんは大学を卒業後、兵庫県に本社のある大企業に就職した。会社では様々な仕事を割り当てられたが、大学時代に学んだ草地学が多分に活かされることはなかった。会社勤めの生活に不満があった訳ではなかったが、会社と家を往復し、仕事中心に生きていく生活にどこか物足りなさを感じていたようだ。そこで、小谷さんは定年退職後、自分を豊かにし、なおかつ社会に貢献していると実感できる生活をしたいと考えた。こう思いついたのが57歳のときである。それ以降、定年までの5年間ほど、仕事をしながら移住に関する思案を巡らせていた。岐阜の高原にセカンドハウスを建てた大学時代の先輩宅を訪れたり、兵庫と岡山の県境に別荘を建てた友人宅を訪れたりと、二拠点生活への興味を募らせた。
 転機は2019年11月であった。運動のための街道歩きに励み、定年後も活動できる健康な身体作りに努めた。こうしたなかで、琵琶湖の北側に行ってみようと思い立ち、ルートを探して歩いていた中で、余呉湖と運命の出会いを果たしたのである。小谷さんはその日、気嵐(けあらし)を見た。冬の余呉湖で見られる、水面上に雲のような霧が現れる、それは幻想的な様子だそうだ。あまりの美しさに心を奪われた小谷さんは、余呉湖のそばに住みたいという決意を固めた。
 次に住居を決めたストーリーを紹介したい。小谷さんの住む家のすぐ近くに、一軒のカフェがある。その店のオーナーとの出会いが、まず一番大きかったと小谷さんは語る。小谷さんが移住先を決めかねているとき、喫茶の時間に訪問して顔見知りになった。数回の来店で、オーナーは相談に乗ると声をかけてくれた。最終的に、現在住んでいる家の一つ前の家を決める際、背中を押してくれたのがこのオーナーであり、移住の決め手になった。いわばキーパーソンである。2021年の秋に、前居が取り壊される予定であることを知らされ、次の住居として選んだのが、現在の余呉湖が見える土地である。2022年3月に戸建ての建設を始め、10月に完成した。

余呉湖が見えるベランダでウッドワークする小谷さん

余呉湖が見えるベランダでウッドワークする小谷さん

―移住後の活動ー

 移住後は新たな趣味としてウッドワークを始めた。近くで開催されたウッドワークのイベントに参加して、のめり込むようになったそうだ。そのイベントは「ながはま森林マッチングセンター」が開催しており、次に紹介する社会貢献に繋がる。
 移住後は、社会貢献という形で社会と繋がっていたかった小谷さんは、「ながはま森林マッチングセンター」で知り合った人に何かやることがないか聞き込み、「山門水源の森」に出会った。そこで希少植物の生息する湿地や県有林を保護したり、遊歩道の板を交換したり、野生動物の食害対策をしたりと、今は持ち前の植物好きを活かした活動をしている。これらの活動には、地学・生物学の先生が退職後に参加していることも多く、博識な人々の話を聞くことができるという。今の活動は「社会貢献」と「好きなこと」が両立されており、とても充実していると、楽しそうに小谷さんは語った。
 小谷さんのように、退職前から移住の展望を明確に持つことが充実した生活の鍵になると感じた。明確な展望があったため、意欲的に移住地探しを行うことができたのだろう。実際に小谷さんは、趣味の街道歩き中に望みの場所を見つけることができた。その意欲的な姿勢は移住後の趣味であるウッドワークとの出会いや、地域コミュニティとの繋がりなど、様々なものに繋がっている。私も就職する前に、自分の人生でやりたい事を明確にしてみようと思った。そして、仕事という側面で意欲的に社会貢献をしたい。

滋賀大学経済学部森ゼミナール 森重美優 協力:滋賀県長浜市
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長浜市
いざない湖北 が紹介する長浜市ってこんなところ!

●琵琶湖と余呉湖、きれいな渓流…水辺の街!
長浜は2つの湖といくつかの河川がある街。水辺での暮らしに興味がある方にはぴったりの環境です。

●広葉樹林や野草が生きる里山!
樹齢数百年の巨木にそこかしこで出会える里山や、季節によって色とりどりの表情を見せる広葉樹林にすぐに足を運べます。珍しい植物や野鳥とも遭遇できるかも。

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古くから栄えていた長浜のエリア。近畿、北陸、東海の中間点として、人やモノが行き交っていた時代の雰囲気を城下町・宿場町で感じられます。また集落では多様な信仰が残っており、代表的な「観音さん」は集落の人たちが大事にお守りしています。市街地で行われる「長浜曳山まつり」はユネスコ無形文化遺産に登録されていて、子どもたちによる「子ども歌舞伎」が有名です。

●意外といい!都市圏からのアクセス
京都市や名古屋市からはおよそ60km圏内、大阪市からも100km圏内。また新幹線駅がお隣の米原市にあるので、意外にもどこでも行きやすいですよ。

いざない湖北
長浜市移住定住促進協議会
びわ湖の東北部に位置する滋賀県長浜市です。 羽柴秀吉が初めての城持ち大名となって開いた城下町です。 豊かな歴史と自然に恵まれながら、新しい文化もはぐくむ長浜で、やりたかったことにチャレンジしてみませんか? 移住だけでなく、リモートワークや起業、副業・兼業と新しい働き方も支援します。
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