お寺や幼稚園/保育園を佐世保の街にひらき・つなげる。コミュニティコーディネーターという仕事

長崎県北部の港町、佐世保。
佐世保には米軍基地があり、日常の中に国際色豊かな文化がおり混ざる街です。
海に臨むこじんまりとした街並みは、訪れた人をおだやかに包み込むような不思議な魅力があります。
進徳幼稚園と保育園は、歴史ある寺院、商店街、米軍基地、大学などさまざまな人・文化が交差する場所にある「お寺の園(※)」です。

昔からコミュニティーの中心であり、寺子屋のような学び場の役割を担ってきたお寺。
そんなお寺の中にある「おてらの幼稚園と保育園」を舞台に、地域とのつながりを生み出していく役割を担うコミュニティコーディネーターを募集します。まずはこの記事を通じ、幼稚園を地域に開き、老若男女問わず人が集まる場にするための試みについて知っていただけたらうれしいです。

※お寺が運営する、お寺の中にある幼稚園・保育園

つながるために辿りついた「コミュニティコーディネーター」という役割

進徳幼稚園は、1490年頃に創設されたと伝えられる教法寺の中にある幼稚園。教法寺は、佐世保最初の村長選挙が行われるなど、街の歴史にも深く関わってきた場所です。進徳幼稚園も明治39年に開園、私立幼稚園の中では全国有数の歴史を誇ります。初代園長は十三代めの住職で、若かりし頃大学になる前の慶應義塾の塾生でした。師であった福澤諭吉先生より、これからのお寺は若い人の教育の場所でもあるべきだから、学びの場をつくりなさい!と助言を受け、佐世保に戻って20年後に作ったのが、進徳幼稚園の始まりです。

私は元々佐世保のお寺に生まれなのですが、大学卒業後に上京。人材派遣会社やコンサルティング会社を経て13年前に佐世保に戻り、教法寺に入り、僧侶を務めながら幼稚園と保育園の運営に携わってきました。その中で、ある課題を感じるように。それは、お寺・幼稚園・保育園はそれぞれ街に深く長く関わる場所でありながら、また、いわゆる「ソーシャルキャピタル」と呼ばれる社会関係資本のひとつでありながら、今いち地域とのつながりを十分に持てていないのではないかということです。

では、どのように地域との関わりを築いていくべきか。
その手段として辿り着いたのが「コミュニティコーディネーター(CC)」という役割です。

たとえば東京都のあるこども園では、子どもが商店街に出かけて世の中の仕事について学んだり、さまざまな仕事をしている人との交流の場を設けたり、逆に幼稚園の中に街の人が集うカフェを併設したり……といった試みを取り入れています。そのアレンジをするのが、CCというスペシャリスト。幼稚園・保育園の先生だけではなかなか手が回らない「地域との関係性作り」という部分を専任で担い、園と地域の人々をつなげているのです。

学生や街のプレイヤーを巻き込み、小さなことから始める

東京のこども園を視察してから、私たちも佐世保の街の規模や特色そしてお寺の園の特性を考えて、CCを導入した活動を2022年より始めています。
CCの活動は、日常の小さなことから始めました。
たとえば、米軍基地から徒歩5分の園という土地柄、進徳幼稚園は半数の園児が外国人。園児のご家族も英語しか話せないため、米軍基地以外に佐世保の街でコミュニティに加われないまま暮らしています。
そんな現状から2022年の春の歓迎会は、喫茶店「ピート」のマスター橋口さんに講師の依頼。英語が堪能な橋口さんに料理の先生になってもらい、子どもたちとそのご家族と一緒に英語・日本語両方で鯉のぼり寿司をつくる料理教室を開催しました。料理教室なら、園児のご家族も日本の食文化や季節の行事をきっかけに街を知ることができますし、語学に関係なく皆楽しんでいただけるかと思ったからです。

他にも、近所の煮干し屋さんに余った煮干しを教材として使わせてもらえないか交渉したり。街の飲食店に呼びかけてお寺の境内にキッチンカーを出し、お迎えがてらお惣菜を買って帰れるようにしたり。佐世保の大学生にお祭り・企画づくりに参加してもらったり。

普段お寺や幼稚園や保育園とあまり関わる機会のない学生や、子育てを終えた主婦の方など、地域のさまざまな属性の人を巻き込み、できそうなことから小さく始めてみるというやり方で、学びと交流の場を作ってきました。その結果、普段生活していたら関わることのないコミュニティをつなげる接点として、お寺・幼稚園が機能し始めたのです。

「お寺の幼稚園」という特性をおもしろがってほしい

われわれのCCの仕事は、「お寺にも軸足を置ける」のが大きなポイントだと考えます。

佐世保は、農業従事者、漁業従事者、会社勤めのビジネスパーソン、自衛隊、米軍関係など、多様なバックグラウンドを持つ人が混在する街。私自身、僧侶として、異なる価値観・属性の方々と日々関わっていますが、そういった草の根のコミュニケーションは、地域を巻き込んで子どもたちの問いに応えていくCCの仕事ととても親和性が高いと感じています。

佐世保という街、そしてお寺という場所の特性を活かしながら、CCとしてなにができるのか?を面白がりながら一緒に考えられる人にとって、きっと楽しいお仕事になるはず。

佐世保の街を歩き回り、街に暮らす人と出会う中で「こんなことをやったらおもしろいかも?」と感じることがあれば、ぜひそのアイデアをどんどん形にしていってほしいです。
どんなふうに活動するかは、あなたの特技やこれまでのキャリア、やりたいこと、関心のあることを軸に自由に決めていけたらと思っています。

佐世保市には美しい観光資源も多く、おもしろい人もたくさんいますが、暮らしている人はなかなかその魅力に気づきにくいもの。ぜひ外から訪れた人の目線で、この街のおもしろさを自由に発掘し、お寺&幼稚園との新たなつながりを見出していってください。

教法寺学園
プロジェクトの経過レポート
2024/11/10

古今亭文菊師匠による「教法寺らくご」

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古今亭文菊師匠による「教法寺らくご」を、始めて4年目。
檀家さん、地域の方、たくさんの方とご一緒に、古今亭文菊ならではの世界を堪能させていただきました。

2024/11/08

まちと子どもたちのつながる視点『 つづく、つながる、ととのう、いきる展』開催。

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進徳幼稚園の子どもたちが取り組んできた、さまざまな活動を紹介する特別展示
「つづく、つながる、ととのう、いきる。」展を、開催しました!

 「つづく、つながる、ととのう、いきる。」展ART IN SHINTOKUは、子どもたちの活動記録を
通じて、まちと子どもたちのつながりに新たな視点と価値を提示したいと企画しました。
古い園舎から佐世保の街へとアトリエを持ち出したら、
佐世保ではない空間が出現しました。
とりあえず正しい方向に向かっているな
と手応えを感じられる活動展示となりました。

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佐世保市
和田智暁が紹介する佐世保市ってこんなところ!

佐世保市は、長崎県北部に位置する港町。海をはじめとした自然、歴史ある寺院、利便性の高い都市部がバランスよく集まっている、国際色豊かな街です。

「世界で最も美しい湾」とも呼ばれる九十九島(くじゅうくしま)など、美しい観光資源も豊富。近年では「西九州させぼ広域都市圏」として、周辺の自治体と連携して地域の魅力を高めていく取り組みも始まっています。

唯一無二の風土を持つ街だと思いますが、住んでいるとなかなかその魅力に気づきづらいもの。“ソトモノ”目線で佐世保の魅力を発掘してくれる方をお待ちしています!

和田智暁
宗教法人教法寺(浄土真宗本願寺派)

長崎県佐世保市出身です。京都でお坊さんになるべく学生時代を過ごしていたのに外の世界に飛び出したくなり、卒業後は東京で約10年一般企業にて勤めました。その後椎間板ヘルニアで動けなくなり、リハビリのためめでたく?地元にUターン、ぼーっとしてたらヨソの寺の釜の飯を食うことになって12年が経ちました。

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