
沖縄・石垣(いしがき)で磨く離島物流×人づくり――株式会社イバノ
公開日:2025/10/20 03:36
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2025/11/19「興味ある」が押されました!
2025/11/13沖縄県浦添(うらそえ)市を本拠とし創業62年を迎える株式会社イバノは、業務用食材卸にとどまらず、離島の暮らしを支える“食の社会インフラ”へ進化中。本社のある浦添(うらそえ)・石垣島(いしがきじま)・宮古島(みやこじま)を結ぶ供給網を強化し、離島の「止まらない食」を実装する企業だ。台風期の欠航で2〜3週間物流が止まり棚が空になる現実、かつて離島で冷凍品が常温輸送され段ボールが抜け落ちた事例を前に、2017年の現地倉庫設置、2020年の新社屋移転(約400坪)で体制を再設計。HACCP認証やダブルチェック、手袋の1時間交換など現場改善を徹底し、「100年企業(100億円企業、経常10%以上)」の経営目標と宮古島支店(2025年9月稼働)で未来像を描く成長戦略のもと、心理的安全性と挑戦機会を両立する職場をつくり、人が育つから品質が上がり、品質が上がるから地域に選ばれる――そんな好循環を実装している。 ※本記事はチャレンジ石垣島が、地域産業で働く魅力を発信・理解促進を目的に取材・公開情報をもとに作成しました。
石垣島で見えた課題と行動:離島物流の要をつくる
観光でにぎわう八重山(やえやま)圏の中心・石垣島(いしがきじま)では、台風期に船が欠航し2〜3週間物流がストップ、スーパーの棚が空になる光景が実際に起きる。発表者は「ニュースでしか見ない景色を目の当たりにし、離島物流の不安定さを実感した」と語る。 さらに進出前、竹富島・小浜島・西表島などへの配送は一般客船で冷凍品が常温状態のまま運ばれ、炎天下にさらされた商品が到着時に段ボールの底から抜け落ちたという話も伝わってきた。 こうした現実を前に、同社は「安心・安全な食の提供を何としてもやり遂げたい」との理念に基づき、2017年に現地に八重山支店を開設。倉庫を構え在庫を確保、どんな状況でも飲食店やホテルへ届ける体制へ舵を切った。同時に2020年に新社屋(建物面積は約400坪)へ移転。 以降は売上・経常ともに伸長基調にある。
品質・安全面ではHACCP認証、アレルギー表示、ダブルチェック、賞味期限管理を「細部まで妥協しない」方針で運用。加工場での手袋片・ラップ片の混入というインシデントを機に、作業工程ごとの手袋交換(1時間に1度)、包装者と最終梱包者の目視確認を徹底した。この「現場の気づき→工程見直し」の連鎖と、“商品ではなく安心感と笑顔を届ける”という価値基準が、安全・供給の両輪を強化している。


考え方・文化で守る品質:物心両面の幸福のフィロソフィと木鶏会
「拠点拡大の陰で最初に顕在化したのは人の課題でした。」
現部長の平良さん(写真)が八重山支店着任後に支店長と課長と共に体制を整える一方、最初に露わになったのは人の課題だった。 着任後2年間で複数名が退職し、「会社の中で何かが起きている」と肌で感じたという。向き合い方の軸は、稲盛哲学の「人として正しいか」。フィロソフィ手帳を拠り所に、判断の基準をそろえる取り組みを強化した。コミュニケーションでは、仕事後に少人数で率直に語る場を設定し、「上司が動かない」「休憩が取れない」など本音の把握から改善を開始。 業務面は配送ルート再編、離島便の役割移行、当日ピッキングの前日化、全員でのフォロー体制を整え、残業は“ほぼ0”へ、直近2年は定着率が向上し試用期間外の離職0という変化を生んだ。
学びの仕組みとして毎朝のフィロソフィ輪読と社内木鶏会を導入。 輪読会と木鶏会の意義は ①人間力の向上 ②絶対的美点凝視 ③組織の一体感であるとはっきり語る。 ベトナムからの技能実習生6名も参加し、慣れない日本語での発表や故郷の歌が場を温めたエピソードも共有された。 フィロソフィ手帳(イバノベクトルONE 添付画像参照)は2016年4月に策定。 現場が迷った時に共通の基準へ立ち返る“人づくりの教科書”として機能している。この文化は、HACCP・ダブルチェック・賞味期限管理といった仕組みを“形骸化させない”土台でもある。
物の幸福(賃金や手当)に加え、心の幸福(安心と成長機会)を両輪で回すことが、定着と挑戦の両立を後押ししています。学びを沖縄本島・石垣・宮古で実践し、オンライン木鶏会と現地ワークショップを組み合わせて、離れていても“同じ価値観で動ける組織”をさらに磨く。


宮古島(みやこじま)支店の始動と「100年企業」へ
2025年9月1日、宮古島支店が始動。規模は八重山のおよそ3分の2だが、総投資額は大きく上回る。2025年9月の本格稼働し、離島の安定供給という使命を掲げる。この挑戦は、浦添・八重山・宮古をつなぐ“食の動脈”を太くし、観光のピークや台風シーズンでも止まらない食を実装するための布石だ。 中長期の旗は「100年企業(売上100億円・経常10%)」。これは単なる数値ではなく、「全従業員の物心両面の幸福」「県内同業給与水準No.1」「地域への貢献」を実現するためのエンジンとして位置づけられている。
体制面では、港川工場リニューアルで単体売上20億円、宮古島支店で10億円の達成、全国購買組織への挑戦や、M&Aまでを含む成長投資・基盤強化を並行して進める。
人への投資では全社平均年収450万円以上を目指し、年5%賃上げを目標化し、価値提供と生産性向上の好循環を推し進める。
ここに人と文化の要素を重ねる。 同社は社内掲示の「目指す人財像7ヶ条」で「常に明るく元気な挨拶をする人」を筆頭に掲げ、日々の所作で空気をつくることを重視している(添付画像参照)。 かつて現場には愚痴や不満など陰口が生まれる場面もあったが、毎朝のフィロソフィ輪読と社内木鶏会の定着で、価値観の共有と美点凝視が進み、採用の入口でも「私たちはフィロソフィを基準に経営する」と明示する運用へと変わった。
価値観の背骨には稲盛哲学がある。発表者は「考え方こそが経営の根幹」と繰り返し述べ、判断に迷えばフィロソフィ手帳(イバノベクトルONE)へ立ち返ると語る。その上で、経営哲学である「心を高める 経営を伸ばす」をモットーに、人格の陶冶を通じて経営を伸ばすという心構えを明文化。数値の前に「人として正しいか」を据えるからこそ、HACCP・ダブルチェックといった仕組みが形骸化せず、“商品ではなく安心感と笑顔を届ける”という提供価値に結びつく。
宮古島の本格稼働、港川工場の更新、購買機能の立ち上げ――これらの積み上げが100億・10%の実現可能性を高める。塾長の言葉、「夢を思い描き、強く願い、日々の行動を積み重ねることで必ず実現できる」を胸に、チームは感謝と謙虚を土台に前進する。
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このプロジェクトの地域

石垣市
人口 4.76万人

チャレンジ石垣島が紹介する石垣市ってこんなところ!
♦︎石垣島ってどんなところ? 沖縄県八重山諸島の主島である石垣島は、東京から約2,000km、飛行機で約3時間半の亜熱帯の楽園です。島全体が美しいサンゴ礁に囲まれ、透明度抜群の海には色鮮やかな熱帯魚やマンタが泳ぐ世界有数のダイビングスポット。 夜空は「星空保護区」に認定され、光害の少ない島だからこそ見られる満天の星空は、都会では味わえない感動をもたらします。グルメも充実!「石垣牛」は濃厚な味わいで人気を集め、新鮮な魚介類や南国フルーツも豊富です。 そして何より、この島の宝物は「人」。温かく、のんびりとした島の人々の人情は、訪れる人の心を包み込みます。「イチャリバチョーデー(一度会ったら兄弟)」という言葉のように、初めて会った人とも家族のように接する文化が今も息づいています。
このプロジェクトの作成者
コンセプトは、「島から、世界を面白く」 〜石垣島のコラボ&発信拠点〜
チャレンジ石垣島は、世界で働く人たちを受け入れるワーケーション施設であり、イベントスペースを設けた石垣島最大規模のテレワーク施設です。 島内外の地域や世代を超えた人々がつながって、島の魅力や新しい価値観に触れながら様々なプロジェクトにチャレンジできる、まさに沖縄のチャンプルー文化を体現する石垣島の発信拠点。 人と、島と、地域につながる日本最南端のイベント&コワーキングスペースです。


















