
林業協力隊の次の一歩。 「すくもフォレストサービス」が示すLLPというカタチ
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2026/03/02宿毛市では、林業の地域おこし協力隊を卒業した後の進路と働き方が新たに進化しつつあります。その中心にあるのが、林業LLP「すくもフォレストサービス」です。 地域おこし協力隊OBOGが立ち上げたこのチームでは、それぞれが個人事業主として独立して活動しながら、必要に応じてLLP(有限責任事業組合)として連携するという、柔軟な協業体制で林業に取り組んでいます。
協力隊として山に入り、技術を学び、地域との関係を築いてきたメンバーたち。任期を終えたあとも宿毛市に残り、“林業を仕事として続ける道”を、自分たちの手で切り拓いてきました。
今回は、宿毛市の林業の特徴とともに、「すくもフォレストサービス」というチーム、そしてLLPという働き方についてご紹介します。
宿毛市の林業と、チームのはじまり
■宿毛市が育ててきた「自伐型林業」 高知県西部に位置する宿毛市は、山と海に囲まれた自然豊かな地域です。市域の多くを森林が占めており、古くから林業が営まれてきました。 宿毛市の林業の特徴のひとつが、「自伐型林業」と呼ばれるスタイルが根づいていることです。これは、大規模な事業体が一気に山を施業するのではなく、山主や地域の小規模林業者が山に入り、間伐や作業道づくりを行いながら、長期持続的に山を育てていくやり方です。 大型機械が入りにくい急傾斜地や、小規模な山林が多いこの地域では、柔軟で小回りの利く自伐型林業が地域に根づいてきました。 こうした背景のもと、宿毛市では早くから林業の地域おこし協力隊を受け入れ、未経験者が自伐型林業を学びながら地域に根づく仕組みづくりを進めてきました。そして今回、その目的に向かってさらに前進するために生まれたのが、「すくもフォレストサービス」です。
■「すくもフォレストサービス」とは? 「すくもフォレストサービス」は、宿毛市の林業協力隊を経験したOBOGによって立ち上げられたチームです。 メンバーは、吉田さん、地中さん、木下さん、難波さんの4人。
①吉田さん(林業協力隊1期生・男性) 任期中から、重機操作やチェーンソーワークを生かし、林業だけでなく、家屋裏の危険木伐採や河川の土砂撤去など、土木的な仕事にも活動の幅を広げてきました。
②地中さん(林業協力隊3期生・男性) 当初は林業と農業の兼業を想定していましたが、着任後、「林業専業でも生活が成り立つ」と実感し、100%林業にシフト。現在はすくもフォレストサービスの代表を務めています。
③木下さん(林業協力隊4期生・男性) もともとは漁業経験者。海の環境悪化をきっかけに、「山を整えることが海につながる」と考え、林業の世界へ。現在は漁師と山師の両立を目指しながら活動しています。
④難波さん(林業協力隊5期生・女性) 「自給自足」「里山整備」「教育」など、暮らし全体への関心から林業の世界へ。現在は、木育やワークショップ、教育分野への展開にも意欲的に取り組んでいます。
動機も背景も異なる4人ですが、その違いこそがチームの厚みになっています。 彼らが選んだ組織形態は、会社ではなくLLP(有限責任事業組合)。 LLPとは、複数の独立した個人事業主が対等な立場で集まり、それぞれの強みを持ち寄って事業を行う仕組みです。法人格を持たず、上下関係もなく、必要なときに協業し合える柔軟さが特徴です。 すくもフォレストサービスでも、各メンバーが個人事業主としての活動を続けながら、必要に応じてチームとして仕事を受け、互いの得意分野を生かして活動しています。


LLPという選択がひらいた「新しい林業」
■LLPという形を選んだ理由 すくもフォレストサービスの構想は、難波さんが「梼原町や土佐町でLLPがうまく機能しているらしいから、一度話を聞いてみよう」と提案したことがきっかけでした。 個人で林業を続ける一方で、あえてLLPという形態を加えた理由について地中さんはこう話します。 「個人では受けきれない仕事がたくさんあります。でも、組織になることで受注できる仕事の幅が広がります。LLPなら雇用関係や上下関係もなく、個人事業主としての独立性を保ちながら協業できる。そのバランスが私たちにはちょうど良かったんです」 さらに、行政から見たときにも、“個人”より“組織”のほうが仕事を依頼しやすい場面があるといいます。 「役場目線で考えると、『この仕事を○○さん個人に発注する』というのは公平性の観点から難しい事があります。でも、LLPという組織があれば、地域のある専門業者として仕事を依頼しやすくなる。そこは大きな違いだと思います」と吉田さん。
■LLPだからこそ広がった仕事のフィールド 現在、すくもフォレストサービスの仕事は4つの柱に分かれています。 1.山林整備事業 2.森林塾などの研修運営 3.イベントやお祭りでの普及活動 4.地域おこし協力隊の育成
特に大きな転機となったのが、「森林経営管理制度」の受託組織として認められたことでした。 この制度は、管理が行き届いていない森林について、市町村が仲介役となり、意欲ある林業経営体へ管理を委託する仕組みです。すくもフォレストサービスは、森林組合などと並び、この制度の受け皿のひとつとなりました。 「協力隊卒業生はこれまで、山林所有者さん一人ひとりに営業をしないと仕事を獲得することができませんでした。でも、受託組織になったことで行政が山林所有者とマッチングしてくれるようになり、我々は現場仕事により集中できる環境が整いました」と吉田さんは語ります。 小規模で柔軟に動けるLLPだからこそ、大規模事業体では対応しにくい小ロットの山林整備を担う事ができます。 地域の多様なプレイヤーの間での役割分担が、より良い形で明確になってきています。
■個人の仕事も、チームの仕事も。どちらも大切にする働き方 すくもフォレストサービスのメンバーは、LLP一本で活動しているわけではありません。 それぞれが個人事業主としての仕事と、LLPとしての仕事を組み合わせながら、自分に合ったペースで働いています。 仕事の割合は、メンバーによってさまざまです。 9対1くらいで個人の仕事が多いという地中さん。 個人とLLP(山林整備・森林塾)の仕事が半々という木下さん。 個人が6割、LLP(イベント関連)が2割、残りは自分の山や畑での活動に充てたいという難波さん。
吉田さんはこう語ります。 「LLPがあることで、自分たちの中に“もう一本の柱”ができた感覚があります。前は、『この先30年、40年、自分一人でずっと施業地や仕事を探し続けないといけない』という焦りや不安の気持ちがありました。でも今は、LLPという器があることで役場とも連携しやすくなり、これまで以上に安定的で持続的な林業の仕事の流れをつくっていける手応えを感じています」
個人で踏ん張るだけではなく、チームとしても供に取り組む。 このLLPという選択が、宿毛で林業を“ずっと続けられる仕事”にしているのです。


協力隊のその先へ、バトンをつなぐ
■次代を担う協力隊へ 今後、すくもフォレストサービスは、新たな林業協力隊員の“受け皿”になっていくことを目指しています。 「自分が協力隊に着任した頃は、何もないところから先輩が道をつくってくれていました。今後は、ある程度仕組みができた状態で入ってくることになると思います。だからこそ、「その基盤をフル活用して、さらに高めてくれる人」が来てくれると嬉しいです。また、LLPの軸である山林整備を任せられる技術力を、3年間でぜひ身につけてほしいと思っています」と地中さん。
吉田さんは、さらにこう続けます。 「地域への貢献、チームへの貢献、そして自分のメリット。この3つの視点を両立できる人に入ってほしいです。会社組織ではないからこそ、技術的にも精神的にも自立していることも大事だと思います」
■それぞれが描く、今後の展望 最後に、メンバーそれぞれの今後の展望を聞いてみました。
吉田さん 「今後のテーマとして挙げるのは、『技術向上』と『人材育成』です。一つは、山林整備の技術をもっと高めたいです。特に間伐は、まだまだ深められる分野だと思っています。もう一つは人材育成ですね。新しい協力隊員も入りそうなので、自分が3年間で到達できなかったところまで、次の世代には突き進んでほしいという思いがあります」
地中さん 「今は山をお借りして施業していますが、いずれは自分の山を購入し、そこを自分の手で整えていきたいという夢があります」
木下さん 「山と海のつながりを実感してきた経験を生かし、山師と漁師の両面から地域の自然環境を支えていきたいと考えています。山を整えることが海を守ることにつながる。その循環を、自身の働き方を通して体現していくことが目標です。」
難波さん 「林業を単なる産業としてではなく、『暮らし』や『学び』と結びつけていきたいと思います。木育やワークショップなどを通じて、山との関わり方を次世代に伝える場づくりにも力を入れていく予定です。」
それぞれが違う場所から協力隊として移住し、宿毛市で暮らし続ける覚悟を持っている。 その思いが、活動への向き合い方を一層確かなものにしています。 会社でも、個人事業でもない、「LLP」という第3の選択肢。 すくもフォレストサービスが示すこの道は、これから宿毛市で林業を志す人にとって、確かな道しるべとなるでしょう。
※宿毛市林業協力隊の募集についてはこちら:https://smout.jp/plans/20203 ※合わせて、こちらの記事もぜひご覧ください! ●吉田さんインタビュー記事:https://smout.jp/plans/20371 https://smout.jp/plans/20372 ●難波さんインタビュー記事:https://smout.jp/plans/20373 ●地中さんインタビュー記事:https://smout.jp/plans/25769


このプロジェクトの地域

宿毛市
人口 1.76万人

宿毛市が紹介する宿毛市ってこんなところ!
宿毛市は、人口約18,000人。 四国の西南地域に位置し、温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、一年を通じてとても暮らしやすいところです!市の主な産業である農業は、この立地条件や気候を生かして、オクラやブロッコリーなどの露地栽培、土佐文旦や小夏などの特産果樹を展開してきました。 さらに近年は、ミョウガ、イチゴなどの施設園芸等の導入も推進しています。また、森林率84%を誇る市の山林は、銘木と名高い土佐ヒノキの一大産地であり、宿毛湾の沖合に浮かぶ沖の島の周辺には国内有数のダイビングスポットがあります!

















