『食』をテーマに探究する高校生が「郷土料理」を深堀りしてみた!!

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「興味ある」が押されました!

2025/03/14

「興味ある」が押されました!

2025/02/22

 皆さん、こんにちは!

 萩市では高校生を対象に自身の興味・関心のある事や問題意識をテーマにして探究力を上げるプロジェクト「萩探究部(通称:はぎたん)」を2020年からスタートし、現在第9期を開催中です。 はぎたんについて詳しくは▷ https://www.city.hagi.lg.jp/soshiki/107/h48691.html

「はぎたん」の活動では課題の設定、情報収集、整理・分析、まとめ・表現までを1つのプロジェクトとして進めています。  今回は萩高校に通う“ちほさん”が「郷土料理」について探究し、レポートしてくれますヨ! 地域の特色が出やすい郷土料理がテーマということで、楽しみですネ💕 それではちほさん、よろしくお願いします!!✌️

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 こんにちは。高校一年生のちほです。普段は合唱部に所属しながらも地域の萩探究部(略してはぎたん)で探究活動を行っています。合唱部では聞いてくださる方へ感動が届くように日々仲間と切磋琢磨しながら、最終的には全国大会出場という結果につながるように練習しています。

 はぎたんでは、大学生と自分の興味のあることを探究して探究の楽しさを学びながら、活動を通してプレゼン力、良い問いを立てる力を伸ばしています。私は将来、食に関わる仕事に就きたいと考えているので、今年は『食』をテーマに探究活動をしています。今回は知っているようで知らない「郷土料理」について調べてみることにしました。

現料理人の母に、郷土料理の「思い出」と「良さ」について聞いてみた!

 皆さんにとっては地元の郷土料理というと何を思いますか? 私にとっては母の味の一部であり、ほっとする味です。そんな地元の郷土料理を、皆さんはどれくらい知っていますか? そもそも郷土料理自体の味は素朴なのに、どうしてたまに食べたくなり、長年地域の人から愛されてきたのでしょうか。私はそこに地域の食材や萩の歴史との大きな関係があるのではないかと考えました。

 そこで私は、郷土料理から見える萩の魅力について調べることにしました。今回の記事を書くにあたって、作る側である私の母(現料理人)に協力をお願いしました。普段料理をする母は郷土料理をどのように捉え、思いを込め作っているのか、私にはない視点を知ることができると考え、主に思い出と良さを聞きました。そのインタビューからわかった萩の良さや郷土料理に秘められた力をまとめました。

Q.郷土料理の良さは何ですか? A.野菜が沢山とれるバランスの良い食事を作れることです。そして母の味を思い出すことのできる機会でもあります。

Q.どんな時に郷土料理をつくろうと思うのですか? A.季節の旬の食材を使える時や野菜を多く使いたい時です。しかし今は食材が変化していて、例えば、チシャという食材を使って作られる「ちしゃなます」には現在サニーレタスが使われており、チシャが使われることがなくなっています。

Q.チシャが使われなくなり、スーパーにも売られることがほぼないのはなぜですか? A.もともとはチシャ自体が家庭菜園で作られることが多かったからではないしょうか。今は家庭菜園をする人が減っていますし、苦みが強いので、現代人には何の料理にも使えるサニーレタスが普及したのだと思います。

Q.一番思い出のある郷土料理は何ですか? A.南蛮煮です。中学生の時から実家のお店でおせち作りの手伝いをしていて、お店=家のおせちに入っていたからです。南蛮煮はもともとクジラの肉が使われていましたが、今は鶏肉で代用して作っています。

 以上のインタビューからでてきた「ちしゃなます」、「南蛮煮」、そして、私たちが普段一番口にする「チキンチキンごぼう」についての歴史を調べてみることにしました。

ちしゃなます
ちしゃなます
くじらの南蛮煮
くじらの南蛮煮

関ヶ原での敗北、藩の財政強化、現代生活、給食・・・使用食材から見えてくる時代背景

【ちしゃなますについて】 「ちしゃなます」が誕生したのは毛利時代のこと。関ヶ原の戦いによって困窮した人々の中で考案されたと言われています。地域の伝統野菜として、かつては各家庭で自家栽培されていたそうです。しかし、癖のある苦みが特徴で味の好き嫌いが分かれるため、現在チシャが使われることはほぼなく、万能野菜のサニーレタスが使われるようになってきました。  母が言っていたように、現代人が自家栽培をすることが少なくなった要因を自分なりに考えると、まず、育てるより買うほうが時間やお金の面を考えると手軽で、地域によっては土地代のほうが高く、断然買った方が良いと思われます。それに、昔と比べると女性が外で働くようになって、わざわざ家庭菜園に時間を割くことが大変難しい時代になりました。また、食生活が豊かに変化してきていると同時に人の味覚も敏感になり、舌が肥えわざわざ苦みのあるものを食べようと思わなくなっていることも、理由の一つだと考えられます。

【クジラの南蛮煮について】  山口県の下関は、江戸時代、捕鯨ではなく、流通と消費地としての役割を持っていました。対して長門は、全国的にも早い時期から捕鯨の歴史が始まり、1672年に最初に現在の仙崎浦の「鯨突き組」が長州藩に取り立てられたことがあったそうです。クジラというと下関のイメージしかなかったのですが、長州藩が捕鯨を積極的に推奨したことからも、北浦(山口県の日本海側)沿岸の漁場としての豊かさと、捕鯨による財政強化に力を入れていたことが窺えます。  また、母のインタビューにあったように鶏肉で代用されるようになった理由には、捕鯨量の規制があります。現在は日本の他に、ノルウェー、デンマーク自治領のグリーンランドやフェロー諸島などで捕鯨が行われています。捕鯨に対する他国からの批判もあるため昔のような取りすぎはもう行われないと思いますが、文化として残したいと感じています。

【チキンチキンごぼうについて】  学校給食から県内全域に広まり、山口県民のソウルフードとなった料理。発祥は1995年頃のことで、小学校の栄養教諭が「給食のレシピがマネンリ化している」と、各家庭のオリジナル料理を募集したところ、リズムが良く子どもを引き付ける「チキンチキンごぼう」が採用されました。アレルギーの子どもへの配慮もあり、使っている食材が分かりやすいネーミングになっているそうです。給食を通して家庭に広まり、これから郷土料理として定着していくものだと考えられています。

母と一緒にチキンチキンごぼう作りに挑戦。写真はメインの野菜を切っているところです。根菜は火が通りにくいのでなるべく薄く切りました。
母と一緒にチキンチキンごぼう作りに挑戦。写真はメインの野菜を切っているところです。根菜は火が通りにくいのでなるべく薄く切りました。

実際に作って感じた“ほっとする味”の秘密。そして郷土料理とは・・・

 最後に、新たな視点を得るため実際にチキンチキンごぼうを作ってみました。一言でまとめるととにかく手間がかかりました。郷土料理というと地味なイメージがあり、どちらかといえば作りやすいイメージがありましたが、実際に作ってみると違いました。今回作ったのはチキンチキンごぼうですが、ほかの郷土料理「けんちょう」(大根・人参・豆腐を炒めて甘辛く煮たもの)を作ってみても手間はかかりました。  これらに共通する部分は郷土料理の手間はネガティブに捉えれば“手間”ですが、ポジティブに捉えれば、それは“愛情”を表現するためなのかなというふうに考えました。昔からただその地域の食材を使うだけじゃなく、工夫と愛情があるからこそ、時代の流れにも合わせながら今に伝わっているのではないかと感じることができました。

☆全体を通しての感想☆  郷土料理が時代に合わせて変化していながらも、最初に抱いたほっとする味や、たまに食べたくなる味になっているわけは、作ってくれる人の愛情や手間があるからだと思いました。  郷土料理はその地域に根付いた産物を使い、地域に広く伝承されているという定義がありますが、これからの郷土料理の在り方としては、次世代につなぎたい料理を郷土料理とするのも可能性なのかなと感じました。

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 🤗高校生のちほさんのレポート、いかがでしたか?  郷土料理を深堀りしていくと、歴史や時代背景など、その時に生きている人たちの生活や思いまで伝わってくるんですね。  私は、最後にあった“次世代につなぎたい料理を郷土料理とするのも可能性なのかなと感じました”という一文から、ご先祖様から今の大人たちへ、その子どもたちへと続く愛情のリレーが「郷土料理」だったのだなぁとしみじみ感じました。そして、現代に生きる高校生のちほさんから郷土料理の未来にふれる言葉が出たことで、これからもきっと良い郷土料理が受け継がれていくのだろうと思うと、なんだかとても安心できました。  ちほさん、とても良いレポートでした✨ありがとうございました!😊👌

素揚げをしたごぼうとにんじんを、甘辛いたれにからめて味をつけました。 余ったタレは照り焼きチキンに使えます。
素揚げをしたごぼうとにんじんを、甘辛いたれにからめて味をつけました。 余ったタレは照り焼きチキンに使えます。
完成したチキンチキンゴボウの写真です。 彩りを添えるために枝豆を加えてみました。
完成したチキンチキンゴボウの写真です。 彩りを添えるために枝豆を加えてみました。

萩市産業戦略室 産業戦略係

このプロジェクトの地域

山口県

萩市

人口 4.11万人

萩市

夏みかんちゃんが紹介する萩市ってこんなところ!

\萩の高校生がおすすめする萩/

こんにちは。ちほです。 今回は萩市の中でも特に福栄(ふくえ)の魅力について紹介します。 福栄には、豊かな自然と温かい地域の人がいます。 そんな福栄の魅力は夜空です。私は冬の少し寒さを感じる中、星を眺める時間が好きです。萩市街も比較的星は見えますが、鮮明に輝いて見える感動は福栄に来ることでしか味わうことができません。そんな感動を経験してみませんか? 私の母校には展望台があります。毎月「星を見る会」と題して、ジオパークの方に来ていただいてちょっとした公演をしていただいたり、9月にはお月見団子を作って食べたりなどのイベントもありました。何よりドーム型の展望台で見る夜空は肉眼でもきれいですが、今でもあの感動を忘れられないほど美しかったです。 また、野菜や果物、お花などのたくさんの特産品があります。特に冬の時期は白菜やシクラメンが有名です。これらの特産品は地域の直売所に行くと比較的お手頃な値段で購入することができるのでぜひ福栄に来てみてください!

このプロジェクトの作成者

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夏みかんちゃんの中の人↓ ①堀(ほり):萩出身。夫、子(小2、小4いずれも男子)の4人暮らし。子どもたちは年中菊ヶ浜で磯遊びを楽しみ、城下町の石垣でトカゲ探し。自然豊かな萩を一家で満喫中。 ②秋月(ヅッキー):萩出身。夫、ムスメ2人、ばぁばとミックス犬の5人と1匹暮らし。美味しい産物と、のんびりな時間の流れ、健やかかつコンパクトで住みやすい萩をオススメします! ③蛭子(えびちゃん):福岡県出身。令和2年に萩市へ移住。夫、子(一才)の3人暮らし。萩の好きなところは、菊ケ浜、美味しい魚、野菜、ゴミが落ちていないきれいなまち、広い空!優しい人、見ていてワクワクする人が多いところ。

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