特選受賞者が語る、愛荘町「のれんアート」が育む人と地域とのつながりとは
公開日:2026/08/07 06:07
最新情報
「興味ある」が押されました!
2026/08/08滋賀県愛荘町の中山道愛知川宿にて、毎年ゴールデンウィーク期間中に開催される「中山道愛知川宿のれんアート」。愛荘町でも生産されている「麻のれん」に描いた個性豊かな作品が、旧街道を鮮やかに彩ります。今年で18回目を迎えるこのイベントは、地域の恒例行事として親しまれています。
今回のテーマは「夢」。数ある力作の中から、最高賞である特選に選ばれたのは瀧沢千代子さんの作品「極楽鳥花」です。制作を開始したのは、なんと締め切りの4日前!期日が迫る中での制作でしたが、見事特選の栄冠に輝きました。
地元の風景と遠くアフリカの花を融合させるという独創的な構想から生まれた今回の作品。誕生した背景や制作の秘話、そして、地域で長く愛される「のれんアート」への期待について、お話を伺いました。 のれんアートや愛荘町について「もっと知りたい!」と思った方は「♡興味ある」ボタンを押していただけると嬉しいです!
愛荘町「のれんアート」友人の一言で4度目の挑戦へ
―― この度は、特選の受賞、本当におめでとうございます。受賞を知った時はどんな気持ちでしたか。
瀧沢さん) びっくりしました。まさか自分が選ばれるなんて。 今回の挑戦は4年目になりますが、実は今年、最初は出すのをやめようと思っていたんです。のれんアートの案内は目にしたのですが、自分の中で「もう3回も出したし、今年はいいかな」という気持ちがどこかにありました。ところが、お友達から「今年は描かないの?」と声をかけられて……。そう言われると、なんだか急に気になってきてしまって(笑)。それで慌てて観光協会へ確認に行ったら「締め切りまであと4日です」と言われたんですよ。
―― あと4日!かなり集中して制作されたんですね。
瀧沢さん) 「4日間でこんな大きなのれんに描けるかしら」と不安になりましたが、観光協会の方も優しく背中を押してくださったので、チャレンジすることにしました。 そこからはもう必死で、何とか仕上げて持ち込むことができました。周りの方に勧められて挑戦できたことに感謝しています。
夢をアートに:愛荘町の麻のれんに描く面白さとは
――鮮やかなオレンジ色の花と背景の山が印象的な作品ですね。描かれたモチーフについて教えてください。
瀧沢さん) 描いたのは、私が大好きなストレリチアという花です。華やかで明るく、映えるオレンジが好きで。花屋で購入して家に飾って楽しんでいました。 背景の山は多賀の胡宮神社(このみやじんじゃ)のあたりから見える荒神山をイメージしました。あそこから眺める夕焼けが本当に素晴らしくて、空も山も真っ赤に染まるんですよ。 そこで、好きな花と景色を組み合わせて描くことにしました。調べてみると、ストレリチアは南アフリカが原産だと知り、自分が行ったことのないアフリカのイメージと、親しみのある滋賀の景色を融合させてみようと思いついたんです。
―― アフリカ原産の花と滋賀の風景の組み合わせですか、斬新ですね!どんな思いで描きましたか?
瀧沢さん) 実際の荒神山は、もっと緩やかな、優しい形をした山なのですが、アフリカのイメージを表現するために、あえて山を高く、尖った形にアレンジしました。アフリカを意識した木々も描き「いつかアフリカに行ってみたいな」という夢を込めています。 今回はテーマが「夢」だったので「夢なら好きなことを書こう!」と、自由に描くことができました。
―― 瀧沢さんは、日本画を30年も続けていらっしゃると伺いました。のれんに描くにあたってどんな難しさがありましたか?
瀧沢さん) 日本画は鉱物から作る絵具を使いますが、のれんにはうまく描けませんでした。そこで、100円ショップのアクリル絵の具を試してみたら、色も落ちにくくて乾きも早くてちょうどよかったんです。 今回は、6色の絵の具を混ぜ合わせて色を作りました。葉っぱの部分は、青と黄色を混ぜて濃淡をつけるなど、少ない色でも混ぜ合わせることで無限に色を作ることができるんですよ。
―制作過程で特に苦労された点はありますか?
瀧沢さん) のれんは大きいですから、全体を見るために、少し描いては離れて確認し、また近づいて描く……その繰り返しでバランスを見ながら制作しました。それもまた、のれんアートならではの面白さですね。
愛荘町の「のれんアート」が人や地域とのつながりを育む
―― 受賞が発表された後、周囲の反応はいかがでしたか?
瀧沢さん) 展示を見に行った友人が「特選取ってるよ!」と電話で教えてくれたんです。信じられなくて、すぐに自分でも見に行きました。自分の作品が飾られているのを見て、嬉しかったですね。県外に住む家族も喜んでくれました。
また、新聞に掲載されたのを見た町内の方から「見たよ!」と声をかけていただいたり、久しぶりに友人から連絡が来たり……。町内の仲の良い友達とは、受賞祝いで食事会を開いて盛り上がりました。
―― まさに、のれんアートが地域と人をつなぐきっかけになったのですね!
瀧沢さん) そもそも、のれんアートを始めたきっかけ自体も、友人の勧めでした。 4年前、友人と立ち寄った観光協会でのれんアートを見つけたときに「絵を習っているんだから、描いてみたら?」と言ってくれたんです。今年も、一人だったらきっと挑戦していなかったかもしれない。たくさんの方に勧められ、描けたことに感謝しています。
―― これからのれんアートに興味を持つ人に伝えたいことはありますか?
瀧沢さん) のれんアートは、麻のれんを1枚550円で購入すれば誰でも参加できます。この価格で、のれんアートに挑戦できるなんて、他では考えられないですよね!
小さな絵を拡大して描いてもいいし、ひとつの大きな絵を描いても味が出ます。テーマはありますが、自由に書いていいので、楽しく誰でも気軽にチャレンジしてもらえるといいなと思います。
―― 麻のれんに絵を描くなんて愛荘町ならではの体験ですよね。今後の、のれんアートへの期待はありますか?
瀧沢さん) もっとたくさんの方がのれんアートに参加して、町中に綺麗な作品がずらりと並ぶと素敵ですよね。近くに住んでいても、のれんアートを知らない方も多いので、皆さんに知っていただけたら嬉しいです。
愛荘町の麻のれんに絵を施し、世界にひとつだけの作品を制作できる「中山道愛知川宿のれんアート」。今回、特選に輝いた瀧沢さんが教えてくれたのは、のれんアートが育む地域との温かなつながりでした。
「周りの方の後押しがあったから描くことができた」と振り返る瀧沢さん。そんな人と人との絆が自然に生まれる豊かな時間が、ここ愛荘町には流れています。
8月29日(土)に開催される中山道宿場まつりでは、のれんアート授賞式が行われます。 作品を通じて作者と地域のみんなが笑顔でつながるひとときになりそうです。
展示されていたのれんは、以下の平和堂の店舗でもご覧いただけます。 ・アル・プラザ水口:9月03日~9月09日 ・フレンドマート秦荘店:日程調整中
大きなのれんに描かれた作品を、ぜひ実際に足を運んで見てみてくださいね。
愛荘町では、住んでみたい方やイベントなどに参加したい方を歓迎しています。本記事を読んで少しでも愛荘町に興味が湧いた方は、ぜひ「♡興味ある」ボタンをクリックして詳しい情報をチェックしてくださいね。
歴史ある愛荘町に新しい風を!「のれんアート」に込めた思い https://smout.jp/plans/28699
このプロジェクトの地域
愛荘町
人口 2.14万人
近野涼が紹介する愛荘町ってこんなところ!
愛荘町役場が紹介する愛荘町ってこんなところ! 平成18年に2つの町が合併してできた現在の愛荘町は、今年で21年目を迎えます。琵琶湖に流れる川の上流・湖東地域に位置しており、鈴鹿山系からの豊かな清水と自然に恵まれ、古くから水との関わりが深いまちとして発展してきました。
町の東側には、聖武天皇の勅願で行基が開山した湖東三山の一つである金剛輪寺があります。昔から四季折々の雰囲気を楽しめるスポットとして地元の方々をはじめ多くの人に愛され続けている場所です。また、近世には中山道66番目の宿場として愛知川宿が栄え、後の明治には郡役所や警察などの官公署が置かれ、近江鉄道が開通するなど、古くから地方の中心としても栄えてきました。
国の伝統的工芸品に指定されている「近江上布」を中心とした麻織物や、瓶のなかにてまりが入った不思議で美しい滋賀県の伝統的工芸品「愛知川びん細工手まり」など、愛荘町でしか見られない手仕事ならではの「ワザ」が光る工芸品を見られるのも特徴です。
▼愛荘町移住ポータルサイトはこちら https://www.town.aisho.shiga.jp/iju/
このプロジェクトの作成者
フリーランスのWebクリエイターとして、記事の執筆や取材・インタビューを行っています。 ターゲットを意識したヒアリングに定評があり、LPや営業台本、マンガ脚本も手掛けています。