ボクサーから仏師に転身〜湖西を選んだわけ〜
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公開日:2024/07/31
終了日:2025/03/31

ボクサーから仏師に転身〜湖西を選んだわけ〜

13年前に大津市に移住され、仏師をされている河田喜代治(以下|河田さん)さんにSMOUTライター三輪(以下|三輪)がお話をお聞きしました。河田さんは、神奈川県で生まれ千葉県で学生時代を過ごされました。高校卒業後、ボクシングの世界に進み、9年間プロボクサーとして活躍された後、仏師の道に進まれました。
異色の経歴を持つ河田さんにボクサーから仏師へジョブチェンジされた経緯や、仏像の魅力についてお聞きしました。

修行する場所を湖西にした理由について

―――三輪:まず湖西に移住した経緯を教えください。

河田さん:関東の仏師さんの元で3年ほど修行した後に、滋賀県の工房に弟子入りしたことがきっかけですね。その工房が大津市の石山あたりにあって、7年間お世話になりました。大津に愛着が湧いたことや、人の繋がりもできたのでそのまま大津で仕事ができたらと思っていました。独立後は工房を湖西に置くことに決めたので、住居も湖西にしました。

―――三輪:大津に愛着が湧いたとありましたが、河田さんにとって大津のどこが魅力的に写りましたか?

河田さん:自然の美しさも勿論なのですが、滋賀県にきて修行しはじめた頃から今まで、私は人に恵まれていて、人として尊敬できる人が近くにいます。仕事だけでなくさまざまな関わりの中でその方から多くのことが学べるということが本当に幸せなことだと思っています。

インタビュー中の河田さん

インタビュー中の河田さん

過去に制作された三面大黒天(さんめんだいこくてん)

過去に制作された三面大黒天(さんめんだいこくてん)

ボクシングから仏師になった経緯〜河田さんにとっての仏像の魅力について〜

―――三輪:河田さんが仏師を志したきっかけを教えてください。

河田さん:仏師になる前は、ボクシングの世界にいました。中学、高校の時にボクシングの魅力に取りつかれて、高校を卒業して9年間やっていました。当時はプロとして、A級ライセンスまで取っていて。ただ、ボクシングは日本チャンピオンでも、ご飯を食べていける世界じゃなくて、戦績も含めて続けるか辞めるか悩んでいた時期がありました。
その時、たまたまカルチャーセンターに工房を紹介している記事を見て、電話したことがきっかけですね。最初は仏師になろうとしたのではなく、興味本位でした。体験みたいな感じで、1つ2つ彫ってみたら、仏師になるための修行してみるかって声をかけてもらって。その時にボクシングもキッパリ辞めて正式に弟子入りしました。

―――三輪:ボクシング選手から仏師って急展開で驚きました。元々、ボクシングをやる前から仏教や仏像に興味があったのですか?

河田さん:うまく言語化できないですけど、小さい頃、お寺とか仏像が好きでしたね。修学旅行の時も、お寺に行くと友達は仏像を少し見て別の場所に行きたがっていたんですが、僕はじっくり見ていたくて。凛とした静寂さから普遍的なものを感じたのかな。言葉にならない良さを感じましたね。その時感じていた良さは、仏師となったいまも変わらずに感じています。

―――三輪:関東で仏師の道に進まれてから滋賀県の工房に拠点を移されたのは何か理由があったんですか?

河田さん:滋賀は京都、奈良と同じぐらいの文化財があり、重要文化財や国宝が沢山あります。湖西には「大津京」という都があった時代もあり、仏像のレベルがすごく高いんですよ。なので、ここで仏師として技術を高めていきたいなと思いました。今ではこの場所で骨を埋めることができたらと思っています。

左から鉋、彫刻用の玄能、漆の定盤、鉋の下端定規

左から鉋、彫刻用の玄能、漆の定盤、鉋の下端定規

様々な場面で使い分けられるノミや彫刻刀

様々な場面で使い分けられるノミや彫刻刀

滋賀県に良い仏像がたくさん残っている歴史的背景について

―――三輪:滋賀県の歴史的な特徴に対するリスペクトがあって、滋賀で仏師をやることに決めたのですね。確か滋賀県は寺院の数も全国で4番目に多いですよね。滋賀県の仏像のレベルが高いというお話があったんですけどもう少し詳しく聞かせてください。

河田さん:かつて奈良と京都に都が置かれていたわけですよね。大津京にも一時期都がありました。都があった場所は文化度が高いということで、腕のいい職人さんが集まっていたっていうのはあるかもしれないです。なので京都、奈良、滋賀に良い仏像が多いとも言えるかもしれません。良い仏像をみることで、自分の勉強にもなって技術にも活かされます。仏像は国ごとによって特徴が違うんですけど、インドや中国の仏像は日本と少し違います。仏教はインドや中国、朝鮮を通って日本に伝来したんですけど、日本の仏像の形が確立されたのは大体平安時代の時です。奈良や京都、滋賀は仏像の形が確立された時代に都が置かれた点が仏師にとっても大事なポイントなんですよね。

―――三輪:全国的にも京都、奈良、滋賀は仏師さんが、今でも多いのですか?

河田さん:今でも多いですね。特に京都が多いかな。仏師だけじゃなくて、伝統技術と言われている分野では洗練された職人さんが多い地域だと思います。
実際、関西は仏像に関しては、重要文化財、国宝に選定されているものが特に集まっていますよね。
仏師としては良い仏像を沢山見て勉強することが一番大事だと思っていて、近くにそのような仏像がある環境はすごく助かっていますね。

―――三輪:仏教における仏像の役割について簡単に教えていただけますか

河田さん:いろいろあるんですが一つ例に挙げるとすると、文字が読めない人に思想を伝える役割ですかね。仏教には様々な教典がありますが、そういった教えは当時、勉強することのできる高貴な身分の方だけのものだったんですよね。なので貴族や武士以外のいわゆる庶民といわれる人たちに教えを伝えるという方便が1つの役割といえます。
仏像は本当に知恵の塊で、抽象的であって、人間のようで人間ではない、完成された形なんですよね。日本だけではなくて、ギリシャ彫刻と並ぶ世界でも誇れる造形物って考えていいと思いますね。

―――三輪:最後に今後の展望などあれば教えてください。

河田さん:自分の技術を磨くこともなんですが、今後は弟子を迎え入れたいなと思っています。どの職種も同じですが、仏師も人手不足に悩まされると思います。なので、私もこれからの世代を育成していきたいと思っています。仏師界にそういう面でも貢献していけたら良いですね。仏師の修行は長い道のりになりますが、辛抱強く、楽しんでくれる人に来てもらえたらと思います。

河田さんが一番初めに購入したノミ

河田さんが一番初めに購入したノミ

河田さんが仏像を彫る様子

河田さんが仏像を彫る様子

取材:SMOUTライター三輪 、文責:大津市企画調整課
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大津市
大津市企画調整課が紹介する大津市ってこんなところ!

 大津市は、比良・比叡の山並みとびわ湖に代表される自然と、様々な歴史の舞台となった豊かな文化財を有する歴史と文化に彩られた都市です。
 滋賀県の県都として、市外の方からも評価をいただき、現在も転入超過※を続けている「選ばれるまち」です。
※転入者数が転出者数を上回っている状態

【大津市が選ばれる理由5選】

01. 大都市への利便性の良さ(JR京都駅まで9分、JR大阪駅まで40分(JR大津駅から))
02. びわ湖の癒しを感じられる生活
03. 大都市に比べて物件が取得しやすい。
04. 豊かな教育環境
05. 通える田舎暮らし、週末田舎暮らし

大津市企画調整課
大津市政策調整部企画調整課

滋賀県大津市は、転入者数が転出者数を上回る社会増を続ける“選ばれているまち”です。
都会派、田舎派どちらのくらしも叶えられるのが滋賀県大津市です。
【大津市を示すデータ】
・2016年から社会増を続けています。
・最も多い転入者は、子育て世帯
【大津市が選ばれる理由】
・抜群の利便性
(JR京都駅に9分、JR大阪駅に40分)
・住宅が取得しやすい
・びわ湖と山のいやしを感じるくらし

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